弊社代表の小泉が2010年に執筆した著者の博士論文がそのまま刊行された著書です。社会的に認知が高まっている「香り」を、風景を作り上げる重要な要素としてとらえ、風景は五感で体験するものである、という著者独自の視点に基づき、風景体験における「匂い・香り」の重要性について述べています。古くから日本人が心地よさを感じてきた庭園である日本庭園を題材としてその場所で感じられる香りの風景を研究することで、これからの香り風景のあり方を考えるヒントをみつけられるのではないかと考えたのが研究の発端です。①『源氏物語』、②日本を代表する名園であり『源氏物語』の世界に触発されて造られたと言われる桂離宮庭園、③日本らしさの象徴でもある茶の湯の空間、を研究の3つの柱として現地調査や文献調査を行い、それぞれの庭園空間における匂い風景(香り風景)について研究しました。<目次>序章: 研究の背景および目的第1章: 『源氏物語』における庭園の「匂い風景」第2章: 桂離宮庭園における「匂い風景」第3章: 茶の湯の空間における「匂い風景」終章: 複合的感覚体験として受け継がれる「匂い風景」